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2025.07.02(Wed)

タカスポが推奨するスポーツドリンクの飲み方!

患者さん
患者さん

最近、ニュースでペットボトル症候群に注意が必要って見たのだけど、スポーツドリンクって身体に悪いの?
いつ飲んだらいい?
経口補水液との違いってあるの?

タカスポ
タカスポ

前回のコラムでもペットボトル症候群についてお話ししましたが、正しい知識を持って適切に使えば、スポーツドリンクは熱中症対策やパフォーマンス向上に非常に有効です。
ペットボトル症候群についてはこちら→

タカスポ
タカスポ

今回はタカスポが教える「スポーツドリンク活用方法」についてお話ししていきます。

スポーツドリンクの適切な活用方法

 スポーツドリンクの役割と種類

スポーツドリンクの役割】

スポーツドリンクは、その名の通り「スポーツ時」に特化した飲料であり、水やお茶とは異なる特性を持っています。激しい運動や長時間の運動、暑熱環境下での活動では、汗とともに水分だけでなくナトリウムなどの電解質や糖質も失われます。

このような場合にスポーツドリンクを適切に活用することで、水分と電解質の効率的な補給、そしてエネルギー源となる糖質を効率的に補給することができます。「清涼飲料水ケトーシス」を予防しつつ、最大限に活用するために適切に活用しましょう。

1.効率的な水分補給

運動中は汗をかくことで、体内の水分が失われます。この水分を補給することがスポーツドリンクの最も基本的な役割ですが、ただの水よりも効率的に水分を吸収できるのが特徴です。

浸透圧の調整

スポーツドリンクは、体液と同じくらいの浸透圧(アイソトニック)か、体液よりも低い浸透圧(ハイポトニック)に調整されています。

糖とナトリウムの協働

腸管での水分の吸収には、糖とナトリウムが同時に存在すると効率が良くなるというメカニズムがあります。スポーツドリンクには、この仕組みを利用して水分の吸収を促進するための糖質とナトリウムが配合されています。

2. 電解質の補給

汗には水分だけでなく、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの「電解質」も含まれています。これらの電解質は、体内の水分バランスの調整、神経伝達、筋肉の収縮など、生命活動に不可欠な役割を担っています。

体液バランスの維持

電解質は、細胞内外の水分移動を調整し、体液の浸透圧を一定に保つ役割があります。これにより、身体の恒常性(ホメオスタシス)が維持されます。

脱水症状の悪化防止

水だけを大量に摂取すると、体内の電解質濃度が薄まり、「低ナトリウム血症」を引き起こす可能性があります。スポーツドリンクに含まれる電解質は、このリスクを防ぎながら水分補給を可能にします。

筋肉機能の維持

ナトリウムやカリウムは、筋肉が適切に収縮するために非常に重要です。これらが不足すると、「足がつる」などの症状が出やすくなります。スポーツドリンクで電解質を補給することで、筋肉機能を正常に保ち、パフォーマンスの低下を防ぎます。

3. エネルギー源の補給

特に長時間の運動や激しい運動では、体内のエネルギー源であるグリコーゲン(糖質の貯蔵形態)が消費されていきます。グリコーゲンが枯渇すると、疲労を感じやすくなり、パフォーマンスが著しく低下します。

糖質の補充

スポーツドリンクに含まれる糖質は、運動中に消費されるエネルギーを補給し、血糖値を安定させる役割があります。これにより、疲労の蓄積を遅らせ、運動を継続するためのエネルギーを供給します。

グリコーゲン節約

運動中に糖質を摂取することで、体内に蓄えられているグリコーゲンの消費を抑えることができます。これは、持久系競技において特に重要です。

集中力の維持

脳の主要なエネルギー源はブドウ糖です。運動中に血糖値が低下すると、集中力の低下や判断力の鈍化を招くことがあります。スポーツドリンクによる糖質補給は、脳の機能を維持し、集中力を保つ助けとなります。

スポーツドリンクの種類

 スポーツドリンクの主な役割は、運動中に汗とともに失われる水分、電解質(ナトリウムなど)、そしてエネルギー源となる糖質を効率的に補給することです。浸透圧の違いによって、主に2種類に分けられます。

アイソトニック飲料(等張液)

体液とほぼ同じ浸透圧に調整されており、糖質濃度が比較的高く(約6%程度)、エネルギー補給に適しています。運動前や運動量がそれほど多くない休憩中、多量の汗をかいた運動直後の疲労回復時に摂取することで、水分と栄養素がバランス良く吸収されエネルギー補給に適しています。

代表的な商品

ポカリスエット(大塚製薬)

スポーツドリンクの代名詞とも言える商品で、幅広い層に認知されています。水分と電解質、糖質のバランスが良く、発汗によって失われた成分を効率よく補給できます。運動前や運動後の水分補給、風邪などで体調を崩した際の水分補給にも使われることがあります。

アクエリアス(コカ・コーラ)

ポカリスエットと並ぶ、もう一つの代表的なスポーツドリンクです。すっきりとした味わいが特徴で、こちらも運動時の水分・エネルギー補給に広く利用されています。

グリーンダカラ(サントリー)果汁感があり、比較的自然な風味を好む方におすすめです。ナトリウムやカリウムなどの電解質も含まれており、水分補給に適しています。

ハイポトニック飲料(低張液)

体液よりも浸透圧が低く調整されており、糖質濃度は2%程度と低めで胃から腸への移行が速く、水分吸収効率に優れています。運動中や運動直後など、多量の発汗で体液の浸透圧が下がっている(血液が濃くなっている)時に、より効率的に水分が吸収されます。お腹にたまりにくいのも特徴です。

代表的な商品

ポカリスエット イオンウォーター(大塚製薬)

定番のポカリスエットよりも糖質が控えめで、すっきりとした飲み口が特徴です。運動中でもごくごく飲めるため、継続的な水分補給に適しています。

アクエリアス ゼロ(コカ・コーラ)

カロリーゼロのハイポトニック飲料です。糖質摂取を控えたい方や、軽い運動時の水分補給に適しています。

スーパーH2O(アサヒ飲料)

水のようにクリアな後味で、非常に飲みやすいのが特徴です。すっきりとした味わいを好む方におすすめです。

アミノバリュー(大塚製薬)

BCAA(分岐鎖アミノ酸)が豊富に含まれており、運動中の筋肉のエネルギー源や疲労回復をサポートしたい方におすすめです。ハイポトニックタイプで吸収も早いです。

ラブズスポーツ(キリン)

こちらもハイポトニックタイプで、吸収が早く、すっきりとした味わいが特徴です。

VAAMウォーター(明治)

VAAM(ヴァーム)成分を配合したハイポトニック飲料です。体脂肪の燃焼をサポートしたい場合に選ばれることがあります。ゼロカロリータイプもあります。

アミノバイタル クエン酸チャージウォーター(味の素)

粉末タイプで、アミノ酸とクエン酸が配合されています。運動中のエネルギー源補給や疲労回復をサポートしたい方におすすめです。自分で濃度を調整できるのも利点です。

スポーツドリンクを飲むべきタイミング

シチュエーションおすすめの種類飲む量とポイント
普段の生活、軽い運動水、麦茶などスポーツドリンクは不要。糖分の過剰摂取は清涼飲料水ケトーシスや肥満の原因になります。
運動前(30分~1時間前)アイソトニック250~500ml程度。事前に水分とエネルギーを蓄える。特に長時間の運動や激しい運動が予想される場合は重要。
運動中ハイポトニック20~30分おきに150~250mlずつ。喉が渇く前にこまめに補給。1時間あたり合計500~1000mlが目安。胃に負担をかけず素早く吸収されるため、パフォーマンス維持に役立つ。
運動後アイソトニック失われた体重の1.25~1.5倍の量を2~4時間かけてゆっくり補給。脱水状態からの回復、グリコーゲンの補充、疲労回復を促進する。電解質も同時に補給し、体液バランスを整える。
暑い環境での運動ハイポトニック発汗量が多いため、運動前から運動中にかけて積極的に摂取。運動中も上記同様にこまめに補給。塩分(ナトリウム)濃度も確認し、熱中症予防を意識する。
体調不良時(発熱、下痢、嘔吐)経口補水液スポーツドリンクとは異なり、医療用に開発されたもの。より効率的に電解質と水分を補給できる。スポーツドリンクは不向き。

スポーツドリンク活用の注意点

糖分と塩分濃度を確認

日本スポーツ協会は、運動時の飲料として糖分4〜8%程度、塩分(ナトリウム換算)0.1〜0.2%(40〜80mg/100ml)のものを推奨しています。製品の成分表示を確認しましょう。

水で薄めるのは基本的に非推奨

市販のスポーツドリンクは、最も効率的に水分や電解質、糖質を吸収できるよう成分バランスが調整されています。水で薄めるとこのバランスが崩れ、吸収効率が低下する可能性があります。状況(例:普段から糖分摂取が多い、軽い運動で少量のみ飲みたい)によっては、薄めることを検討することもありますが、その際は吸収効率が落ちることを理解しておきましょう。

温度

5〜15℃程度の冷たいものが、胃への負担が少なく、吸収効率も良いとされています。

虫歯予防

糖分が含まれるため、飲んだ後は水で口をゆすぐ、歯磨きをするなど、虫歯予防にも配慮しましょう。

糖分の過剰摂取

一見、身体に良さそうなスポーツドリンクですが、実は500mlあたり角砂糖10個分近くの糖分が含まれているものもあります。運動後の水分補給として1本飲むのは問題ありませんが、日常的に何本も飲んでいると、身体に負担をかけます。特にジュニア選手の場合、大人と同じ濃度では糖分過多になりやすいので、推奨されているより薄めに調整することも検討しましょう。

経口補水液との使い分け

スポーツドリンクは糖分が多く、吸収スピードが緩やかなため、脱水症状が進行している場合は経口補水液(ORS)が適しています。経口補水液は、スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、糖分が少ないため、素早い水分・電解質補給に適しています。ただし、あくまで「病者用食品」であり、日常的な水分補給や予防的に飲むものではありません。電解質濃度が高いため、健康な人が常用すると塩分やカリウムの過剰摂取につながる可能性があります。特に腎臓病など、電解質の摂取制限がある方は医師の指示なしに飲用すべきではありません。

多様化と高機能化が進む最新のスポーツドリンク情報

「機能性」の強化と多様化

スポーツドリンクは、健康志向の高まりや運動習慣の普及を背景に、単なる水分補給だけでなく、さまざまなニーズに応えるように進化を続けています。最新のトレンドとして、スポーツドリンクに特定の機能性成分を配合する動きが活発になっています。

特定の機能性成分

アミノ酸(BCAA・EAA)配合

運動中の筋肉のエネルギー源になったり、疲労回復や筋肉の分解抑制をサポートしたりするアミノ酸(BCAA: 分岐鎖アミノ酸、EAA: 必須アミノ酸)を配合した製品。アスリートだけでなく、トレーニング愛好家からの需要も高いです

クエン酸配合

疲労回復のサポート(乳酸代謝促進) がクエン酸の最もよく知られた効果です。クエン酸は、体内でエネルギーを生み出す「クエン酸回路(TCA回路)」の構成要素です。この回路がスムーズに働くことで、糖質や脂質、さらには乳酸なども効率的にエネルギーに変換され、疲労の回復をサポートするとされています。近年の研究では、乳酸自体が必ずしも疲労の直接的な原因ではないという見解も有力になっています。しかし、クエン酸がエネルギー代謝を円滑にし、結果的に疲労感の軽減に繋がる可能性は依然として指摘されています。

免疫機能サポート

健康な人の免疫機能の維持が最も主要な効果であり、機能性表示食品として届け出されている根拠です。スポーツ選手は、激しい運動や遠征によるストレス、環境の変化などにより、一時的に免疫機能が低下しやすいと言われています。プラズマ乳酸菌を継続的に摂取することで、このような状況下でも免疫機能が良好に維持され、体調を崩しにくくなることが期待されます。

疲労感・ストレス軽減

GABAなどの機能性関与成分を配合し、仕事や勉強による一時的な精神的ストレスや疲労感を軽減する機能を持つ製品。GABAの最もよく知られている機能性として、「一時的な精神的ストレスの軽減」が挙げられます。GABAは脳内の興奮状態を鎮める働き(神経細胞の興奮抑制)があり、これによりリラックス効果をもたらすとされています。

まとめ

スポーツドリンクは、単なる「喉の渇きを潤す飲み物」ではなく、運動によって失われる水分、電解質、そしてエネルギーを効率的かつバランス良く補給することで、運動パフォーマンスを最大限に引き出し、熱中症や脱水症状といったリスクから身体を守るための重要な役割を担っています。運動の種類や時間に応じて、適切な種類のスポーツドリンクを選び、必要な時に必要な量だけ補給することで、身体のエネルギーレベルを高く保ち、最高のパフォーマンスを引き出すことができるでしょう。

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