
新しいスパイクや運動靴にしたら足が痛くなった
裸足で歩いた時の足跡が「ぺったんこ」だった
他の子より足が疲れやすい

足の裏をじっくり見たことはありますか?単に足の裏が平らなだけではなく、膝や股関節の痛み、さらにはパフォーマンス低下に直結する【扁平足】かもしれません。

足部の異常が下肢全体のバランスを崩すことが原因となることも多く、症状の改善に足部からのアプローチであるインソール療法は非常に効果的です。
今回の足から診る痛み・障害は【扁平足】についてお話ししていきます。
足から診る扁平足
【扁平足の定義】
扁平足とは、「内側縦アーチ(土踏まず)が低下した状態」を指します。多くの場合、アーチの低下に加えて、かかとの骨が外側に傾く「外反足変形」を伴い、「外反扁平足」という形態をとるのが一般的です。

病態や原因や治療法についてはこちらを参考にしてください
足から診る扁平足の原因
扁平足の原因は、大きく分けて「先天性」と「後天性(代償性)」の2種類があります。
【先天性扁平足】
骨の形状や構造的な問題が原因となるもの。
載距突起(さいきょとっき)の形成不全
かかとの骨の一部である載距突起が正しく形成されていないため、その上にある距骨(きょこつ)が内側に落ち込んでしまいます。
足部変形
足の骨格自体の変形が原因となります。
代償性に比べて変形が強く、土踏まずが完全になくなって足裏全体が地面に着いてしまう傾向があります。

【後天性(代償性)扁平足】
足部変形や歩き方、姿勢の代償で引き起こされるもの。
オーバープロネーション(過回内)
足首が内側に倒れ込む動きが繰り返されることで、内側の縦アーチが徐々に低下します。
衝撃吸収の代償
着地時の衝撃を足のアライメントでうまく吸収できない場合、後脛骨筋などの筋肉で代償しようとし、その結果としてアーチが低下します。
筋力のアンバランス
スポーツなどによる筋肉の使いすぎ(オーバーユース)や筋力の不均衡も、アーチを維持できなくなる要因となります。

「扁平足=アーチの低下」とは限りません!
「自分は扁平足だ」と来院される患者さんでも、実際に測定すると内側縦アーチ(土踏まず)自体はしっかり形成されているケースが多くあります。
なぜ扁平足に見えるのか?
その正体は、アーチそのものの消失ではなく、「代償性のオーバープロネーション(過回内)」です。足首が内側に倒れ込むことで、結果として土踏まずが潰れたように見えているだけなのです。「アーチを上げる」のではなく、「足部のアライメント(整列)を正常に戻す」ことが、本当に必要なアプローチとなります。重要なのは以下の2点です。
- オーバープロネーションの矯正: 内側に倒れ込む足首の動きを正しく整える。
- 原因の解消: 代償動作を引き起こしている筋力低下や柔軟性の不足を改善する。
足から診る扁平足のメカニズム
扁平足の多くは、単にアーチが低いだけでなく、歩行中に足が内側に崩れ続ける「過回内(オーバープロネーション)」という状態が深く関わっています。扁平足は、単にアーチが低いだけでなく、実は「足の骨格のロックが外れっぱなしになる」ことで起こります。
【構造的な内反変形】
筋肉のアンバランスによる骨への牽引や、捻挫の放置による靭帯の緩み、さらには成長期の不適切な靴選びといった外的要因が重なり、骨格が正しい位置からズレて「内反変形」が起こります。これによって構造上「親指側が少し浮き、小指側に重心が寄った状態」で着地してしまいます。
【距骨下関節の代償作用】
歩行時の衝撃を吸収するために「回内(内側へ倒れ込む動き)」を行います。変形がある場合、浮いている親指側を地面に接地させる代償として距骨下関節が通常よりも大きく、かつ長く回内を続けます。
【アーチが崩壊(扁平する)】
過度な回内運動が繰り返されることで、内側縦アーチを支える靭帯や腱が引き伸ばされ、結果として土踏まずが消失し、扁平足が形成されます。

ここがポイント!
足部は着地した瞬間は「クッション(柔らかい足)」になり、蹴り出すときは「レバー(硬い足)」に切り替わります。扁平足の足は回内を続ける為、足の骨同士の噛み合わせが緩み、「柔らかいクッション状態」から戻れなくなります。骨格の支え(ロック)を失った足は、まるで支柱のない橋のような状態です。体重を支える靭帯や腱が限界まで引き伸ばされ、バネのような弾力を失って、最終的に土踏まずが地面に押し潰されて「扁平足」が完成します。
足から診る扁平足による「影響」
【下肢〜全身への運動連鎖への影響】
足部が内側に倒れることで、脛骨が内側に捻じれ、さらに膝や股関節までねじれが伝わります。これは足単体の問題が全身のキネティック・チェーン(運動鎖)に波及した「影響」です。
足部の過回内と連動して脛骨が内側に強く捻じれシンスプリントの原因となります。
また脛骨の捻じれは膝関節を内側にねじり、さらに股関節の前傾や骨盤の歪みへと連動します。膝が内側に入るニーイン状態になり、内側副靭帯や半月板に過剰な圧力がかかり、骨盤が前傾することで反り腰になり、慢性的な腰痛を引き起こすことがあります。
【歩行効率の低下】
歩行の推進期において、足部は「衝撃吸収」から「強固なレバー」へ変換される必要があります。扁平足ではこの切り替えが出来ず推進効率が悪化し、下腿三頭筋が収縮しても、足が柔らかいため力が地面に伝わらず、逃げてしまいます。
効率よく蹴り出せない分、親指の付け根に過剰なねじれの力が加わり、第1中足骨に過剰な背屈・外転ストレスが加わります。これが外反母趾の進行や、第2中足骨頭下の胼胝(タコ)形成を招きます。また不安定な足を安定させようとして、アキレス腱に「鞭打ち」のような無理な牽引力がかかり続け、炎症を起こします。
【軟部組織の進行性変形】
扁平足になると、それを支えようとする筋肉や靭帯がオーバーワークになり、さらに状態が悪化する悪循環に陥ります。
後脛骨筋は内側縦アーチを動的に支持する主働筋ですが、過回内を抑制し続けることで慢心的な過伸展を強いられます。やがて筋出力の低下や腱の変性、断裂に至り、内側アーチの支持基盤が完全に喪失します。また、骨同士を繋ぎ止めている強力な靭帯が、長年の引き伸ばしによって緩んでしまい自分の筋力ではアーチを保持できない「強剛性扁平足」へと移行し、足全体の形が崩れたまま固定されてしまいます。



まとめ
扁平足は、足首の倒れ込みや筋力不足の結果として現れる「形」ですが、一度その形になると、今度は膝や腰を壊す「原因」へと変わります。
単にアーチを持ち上げるだけでなく、「なぜかかとが倒れるのか」「どこの筋肉がサボっているのか」を見極めることが、メカニズムを止める唯一の方法です。根本的なメカニズムを特定し、正しく治療することが重要です。
インソール療法の効果
インソール療法の最も直接的な効果は、アライメントを補正することです。単に「土踏まずを持ち上げる」のではなく足部を「中立位(ニュートラルポジション)」へと誘導し、歩行効率の最適化と全身の運動連鎖を正常化することにあります。
当院ではインソール療法を積極的に行っています。ぜひご相談ください。
