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2024.05.15(Wed)

ケガや障害の予防に重要なウォーミングアップとクールダウンの効果と方法

 

患者さん
患者さん

「スポーツの開始直後が痛くて身体が温まると痛みが消える」
「運動中は大丈夫だが運動後に痛みが出る」

タカスポ
タカスポ

「アップとダウンはしてますか?」

患者さん
患者さん

「。。。してない!」「時間がないんだよね〜」「意味あるの?」

タカスポ
タカスポ

「こんな声をよくお聞きします。」
「今回はケガや障害の予防に大切な【ウォーミングアップとクールダウン】についてのお話をしていきましょう。」

 ウォーミングアップとクールダウンは、運動効果の向上と傷害予防に重要な役割を持っています。試合や運動において、良いパフォーマンスを発揮するために、事前に心身の準備をすることを目的としたトレーニングをウォーミングアップ。蓄積した疲労をできるだけ早期回復するためのトレーニングをクーリングダウン(ウォームダウン)。これらは、外傷・障害予防の観点からも大変重要であり、種目や競技レベルに関係なく、スポーツを楽しむ為に不可欠なものです。

パフォーマンスと安全性を高めるための効果的なウォーミングアップ

ウォーミングアップは、単なる準備運動ではなく、運動のパフォーマンスと安全を守るための重要な役割を果たします。運動開始前に実施することでパフォーマンスの向上、筋骨格系の傷害リスクの軽減、心理的準備の促進など、運動における様々な側面にプラスの影響を与えます。

ウォーミングアップの目的と効果

【運動パフォーマンス向上とトレーニングの効率化】

体温上昇による筋温上昇

 筋温上昇は、筋酵素の活性化、酸素供給量の増加、筋収縮速度の向上、神経伝達速度の向上など、運動能力を向上させる様々な生理学的変化をもたらします。

神経系の活性化

運動ニューロンの興奮性を高め、筋繊維の収縮率を高めることで、筋力発揮や運動能力の向上に作用します。

循環系の準備

ウォーミングアップは、心拍数、血圧、血流量を増加させ、運動中の酸素供給と老廃物排出を効率化します。

関節可動域の拡大

関節軟骨の潤滑、関節包・筋肉の柔軟性向上により、関節可動域を拡大し、運動動作の円滑化を促進します。

【障害予防】

筋肉の柔軟性向上

筋肉の柔軟性を向上させ、筋繊維の断裂や筋肉の損傷リスクを軽減します。

関節の安定化

関節周囲の筋肉を緊張させ、関節の安定性を高め、関節靭帯や軟骨の損傷リスクを軽減させます。

神経系の準備

運動感覚や固有受容器の反応を向上させ、運動中の体のコントロール能力を高め、不意の動作による転倒や怪我のリスクを軽減します。

【心理的準備】

運動への自信向上

ウォーミングアップによって体が徐々に運動状態に適応していくことで、運動への自信を高め、積極的な運動参加を促します。

集中力向上

ウォーミングアップは、運動に集中するための準備を整え、運動中の注意散漫による事故や怪我のリスクを軽減します。

ウォーミングアップの方法

ウォーミングアップの方法は競技特性や個々の特性によって千差万別です。基本的なものに個別の特徴に合ったものを加えていきます。また、自分自身の身体的(メンタルを含め)な特徴を良く把握し、個別性を考慮したウォーミングアップを確立することも、競技者にとって重要な能力の一つです。

【ウォーミングアップの種類】

 一般的ウォーミングアップ

ジョギングやストレッチ、体操などの一般的な全身運動でウォーミングアップ効果を得るもので筋肉の深部温が上がり、身体全体の運動機能がバランスよく適応します。

専門的ウォーミングアップ

技術、スピード、神経系(敏捷性、集中力、反応スピードなど)、パワー、持久系などさまざまな競技特性に合わせた要素を取り入れたウォーミングアップです。専門性が高く、部分的には大きな効果はあるが、競技特性から離れた機能の向上はあまり望めないため一般的なウォーミングアップ後に行うことが多いで

【ウォーミングアップの必要要素】

体温(筋温)の上昇

体温(筋温)の上昇は、ウォーミングアップの基本的な必要要素です。競技特性にかかわらず、ウォーミングアップの効果を得るために不可欠です。体温を上げる際には環境温度を考慮することも大切なポイントです。

筋肉に刺激を与える

筋肉に刺激を与えることは、脳から筋への神経インパルスの伝達をスムーズにするとともに、その運動で使われる運動単位の動員を促す効果があります。中でも高いパワーを必要とする競技種目においては必須で軽負荷のレジスタンストレーニングをウォーミングアップに導入するのはこのためです。

神経系を刺激する

状況の変化や、刺激に対して素早く反応できる状態にするため感覚受容器官(眼、耳、県、皮膚、筋肉)を通して情報を得て、脳で整理し、神経を通して筋肉に伝達されるという行動プロセスを取ります。ウォーミングアップ中に、「判断をして行動を起こす」というリアクション動作的要素を入れておく必要があります。

 動作(パフォーマンス)の確認

競技特性を考慮した動き(技術的要素)をウォーミングアップに入れます。サッカーであればドリブルやパス、野球であればキャッチボールやフリーバッティング、剣道であれば素振りなどです。

ウォーミングアップの時間

競技特性によりウォーミングアップの時間はさまざまです。時間を決定する因子として、体温(筋温)の上昇があげられ、環境温度が大きく関係してきます。通常、軽運動により徐々に立ち上げていくと、体温(筋温)が上がり、呼吸循環機能が安定するには、10〜15分といわれ、環境温度によって時間の調整が必要ですが、最低でも15分はかける必要があります。

ウォーミングアップの強度

急激な脈拍の上昇を示すような、強度の高いウォーミングアップは、試合や主運動に入る前に身体に疲労を残してしまうので注意が必要です。また、強度が低すぎるウォーミングアップは、十分な体温(筋温)上昇を得ることができず、満足できる効果が得られません。ウォーミングアップとして望ましい強度は、主運動と同レベルか、それよりやや低い負荷(強度)まで上げる必要があると考えられています。

一般的なウォーミングアップの順番

体温(筋温)を上げる

一般的な運動を主体とした軽運動を行い、体温(筋温)をあげ、筋肉の柔軟性を高め、関節内の潤滑性をあげます。

心拍数110~120回/分程度の運動強度で15分程度のジョギングやランニング、バイクなどの運動をしましょう。

ストレッチ

ストレッチは体温(筋温)が上昇してから行います。ウォーミングアップで行うストレッチは動的ストレッチが一般的です。競技動作に関連した柔軟性を高め、競技動作や、動作パターンに準じた動きで関節可動域を広げます。反動動作の伴わないダイナミックストレッチから行い、反動動作を用いたバリスティックストレッチに移行して筋肉と神経系に刺激を入れていきます。バリスティックストレッチはケガのリスクを考慮しながら徐々に強度を上げることが必要です。

*30秒以上の静的ストレッチは、その直後の「筋肉パフォーマンス」を低下させる可能性が指摘されています。運動直前に長時間の静的ストレッチを実施するのは避けたほうが良いでしょう。というのが現在の結論のようです。

競技特性を考慮したウォーミングアップ

次に競技特性にあった要素を入れます。ここでフィジカルコンディションを最終的な目標レベルまで上げます。最大筋力発揮が必要な競技は、ジャンプやダッシュなどのパワー系、スピード・アジリティ系の要素を入れ、神経系、筋肉に刺激を与えます。

早期に主運動開始

ウォーミングアップ後、主運動を開始するまでに時間が経過するほどその効果は失われます。時間制限などでやむを得ず、試合までの時間が空いてしまったら、身体を動かしたり、防寒具を着用するなど、極力体温を下げない工夫が必要です。

ウォーミングアップは、運動効果の向上と傷害予防を目的とした、効果的な準備運動です。適切なウォーミングアップは、運動パフォーマンスの向上、筋骨格系の傷害リスクの軽減、心理的準備の促進など、運動における様々な側面にプラスの影響を与えます。運動前には、必ずウォーミングアップを行い、安全で効果的な運動習慣を身につけてください。

運動後の疲労回復と障害予防に不可欠なクールダウン

運動後、いきなり身体を休めてしまうと、心拍数や血圧が急激に変化し、立ちくらみや失神などのリスクが生じるだけでなく、疲労物質が体内に蓄積し、筋肉痛や疲労感の原因となります。クールダウンは運動後の疲労回復と傷害予防に不可欠な整理運動です。しかし、運動後の環境や時間的な問題や、試合結果に左右されて、行われたり行われなかったりするケースも多いのが実状です。特にジュニアスポーツにおいては成長や運動能力の向上に重要です。

クールダウンの目的と効果

疲労回復の促進

運動によって筋肉中に疲労物質(乳酸、二酸化炭素、アンモニア、水素など)が産生されます。特に乳酸は、筋肉の疲労に間接的にかかわっている物質であり、早期に除去しなければなりません。乳酸は遅筋のエネルギー源として使われることから、適度な有酸素運動を行うことにより、疲労回復を促進することができます。

心拍数の緩やかな低下

急に運動を停止すると、体内を激しく流れていた血液が心臓に戻りづらくなるため、めまい、吐き気、失神の原因となります。軽運動や軽い筋力トレーニングなどによって、身体に負担のかからない程度の筋収縮を行うと血液を心臓へ戻す手助けとなり、心拍数を徐々に下げ、安全な状態に戻すことができます。

外傷・障害予防

運動後に筋肉が緊張した状態が続くと柔軟性が低下し、運動強度が高いと身体がアンバランスな状態になりケガのリスクが高まります。ストレッチや体操を行うことにより、運動を行う前の状態に早く戻すことができ、疲労回復や、外傷・障害の予防につながります。また、運動直後は体温が上昇しており、ストレッチをすることにより柔軟性を向上する効果も期待できます。

心理的な安定

運動後の興奮状態が持続すると、交感神経支配により睡眠の質が低下するなど心身に影響します。ジョギング、体操などの軽運動やストレッチを入れることにより、精神的に安定し、落ち着くことができます。

クールダウンの方法

スポーツ選手にとって、競技パフォーマンスの向上と維持には、トレーニングと同様に、適切なクールダウン(リカバリー戦略)が不可欠です。クールダウンは次の運動への準備の開始です。包括的に、継続的に実施することで、疲労を効率的に回復し、心身機能を最適な状態へ維持することができます。

【クールダウンの種類】

クールダウンの種類には、アクティブなものと、パッシブなものがあります。アクティブなものは、血中乳酸濃度が速く低下し、疲労回復効果が認められています。疲労回復の目的から考えて、アクティブなものを主に取り入れることが望ましく、パッシブなものは、アクティブなものの補助的なものと位置づけて取り入れることにより、疲労回復ならびにケガ・障害予防としてより効果を発揮します。

アクティブリカバリー(積極的回復・積極的休養)

軽度の運動を実施することで、血行促進、疲労物質排出促進、筋緊張緩和などの効果を得られる。

ジョギング、自転車エルゴメータ、水中歩行、水泳、競技特性に準じた軽運動、ストレッチ、体操

パッシブリカバリー(消極的回復・消極的休養)

休息をとり、心身の回復を促進する。

睡眠、マッサージ、低周波刺激、鍼灸、アイシング、交代浴

一般的なクールダウンの順序】

乳酸の除去一血流分配の正常化

競技特性に合った軽い有酸素運動を行い、産生された乳酸を再利用、除去します。また、心拍数や血流のバランスを正常化します。

身体バランスを整える

試合やトレーニングによって、身体のバランスが崩れているので、体操などの軽運動によってバランスを整えます。特に腰部周り、肩甲骨周りが重要です。

ストレッチ

運動によって短縮し硬化した筋肉などをストレッチにより、柔軟性、関節可動域をもとの状態に戻します。ストレッチは、静的(スタティック)ストレッチが効果的で、使用した大きな筋群から小さな筋群へと順に伸ばしていきます。

1種目のストレッチにつき20〜30秒間ゆっくりと時間をかけて行いましょう。

ジュニアスポーツにおける重要性

ジュニアアスリートは、成長期であるため、疲労回復や傷害予防が特に重要です。適切なクールダウンは、ジュニアアスリートの健康的な成長と運動パフォーマンスの向上に効果があります。

成長期の体のケア:成長期の体の負担を軽減し、健康的な成長を促進する。

疲労蓄積の防止:疲労の蓄積を防止し、次の練習への準備を整える。

ケガの予防:ケガのリスクを軽減し、安全な運動習慣を身につける。

ジュニアスポーツでは選手自ら積極的に行うことは難しく、指導者やトレーナー、保護者など周りの大人が意識的に促すことが大切です。

まとめ

ウォーミングアップとクールダウンは、ケガの予防やパフォーマンスの向上、心身の健康維持に重要な役割を果たします。運動習慣に取り入れることで、より安全に、効果的に運動を楽しむことができます。

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