
今回は【成長期のスポーツ障害】について環境と対策をまとめました。
理解を深めてお子さんの成長に役立ててください。
前回のはこちら →身体的要因について
成長期のスポーツ障害は、身体的な要因だけでなく、環境的な要因も大きく影響します。子どもたちが安全にスポーツを楽しむために、環境要因にも目を向け、適切な対策を講じることが重要です。
環境的要因を知ろう!
成長期のスポーツ障害に関わる環境的
現代の子供たちは、学校、塾、習い事などで多忙な日々を送っています。スポーツにおいても、高い目標を掲げ、過密なスケジュールで練習に励むことも少なくありません。しかし、成長期の身体はまだ発達段階であり、過度な負荷や不適切な環境は、スポーツ障害を引き起こす大きな要因となります。
【過度な練習と休息不足】
成長期の体は、まだ発達段階にあり、過度な負荷に耐えられません。十分な休息を取らずに過度の練習を続けることは、オーバーユース(使いすぎ)につながり、成長期の身体に大きな負担をかけます。
- 疲労が蓄積した状態での練習は、ケガや障害のリスクを高めます。
- 練習時間の長さ、頻度、試合数の多さなどによって過度に運動負荷がかかります。
- 特定の動作(野球の投球、テニスのストロークなど)によって同一部位に負担が集中します。
- 十分な休息を取らないと、疲労が蓄積し、回復が遅れます。
- 十分な睡眠時間の確保ができていない。
- バランスの偏った食事で、成長に必要な栄養素が不足している。
- 練習後の適切なケア(クールダウン、ストレッチなど)が不足している。
【指導者の影響】
特に野球などの投球動作は、正しいフォームで行わないと、肩や肘に大きな負担がかかります。しかし、十分な技術指導を受けられないまま、未熟なフォームで投球を繰り返す子供たちも少なくありません。
- 成長期の身体特性やスポーツ障害に関する知識が不足している指導者。
- 過度な練習や根性論に基づく指導。
- 選手の身体(個々の)状態を考慮しない指導。
- 身体バイオメカニクスの理解がない指導
- 早期からの専門性の高い練習
【不適切な練習環境】
- 硬すぎるグラウンドや滑るコートなどの練習環境の影響
- 気温や湿度の高い環境下での練習。
- サイズや足の形状に合わないシューズや不適切な用具の使用。
【メンタル的な影響】
- 勝利至上主義。
- 選手の身体の状態よりも、試合への出場を優先させる。
- レギュラー争いなどによる過度な競争。
- 指導者やチームメイトとの人間関係の悩み。
- 練習や試合への参加の強制。
- 保護者の過度な期待やプレッシャー。
見落とされがちな環境的要因を保護者や指導者が目を向け、子供たちが安全にスポーツを楽しめる環境を整えることが、私たち大人の責任です。
理想的なスポーツ指導
成長段階に合わせた指導
年齢に応じた指導 年齢によって運動の目的や最適な種目が異なることを理解し、適切な指導を行いましょう。 |
多種目の経験 一つの種目に偏らず、様々な運動を経験させましょう。例えばサッカーをしている子どもでも、夏は水泳、冬はスキーやスケートなど、様々な種目を経験させます。 |
楽しさと休息 運動を楽しみながら、十分な休息を取らせ、継続できるような指導を心がけましょう。 |
ケガの予防と早期対応 無理な指導や強要は避け、ケガをした場合は早期に治療し、完治してから復帰させましょう。 |
食事・精神面のサポート 食事指導や精神的なサポートも行いましょう。 |
健康管理 学校の検査結果などを活用し、総合的な健康管理を行いましょう。 |
長期的な視点 目先の成果に捉われず、子どもの性格を理解し、時間をかけて丁寧に指導しましょう。 |
コミュニケーション 選手の体調や疲労度が把握されるため、日頃からコミュニケーションが密に図り、痛みや違和感を訴えやすい雰囲気を作ることで早期発見・早期対応に努めることができます。 |
良好な人間関係 選手が精神的なストレスを感じにくくするため、チーム内の雰囲気が良く、仲間と協力し、励まし合えるような環境を作りましょう。 |
スポーツ障害への対策
適切な練習計画
- 練習時間や内容を適切に管理し、オーバーユースを防ぎます。
- 十分な休息日を設け、疲労回復を促します。
指導者の教育
- 指導者は、成長期の身体特性やスポーツ障害に関する知識を深める必要があります。
- 適切な指導方法や練習計画を学び、安全な練習環境を提供します。
環境整備
- 安全な練習環境を整備し、適切な用具を使用します。
- 試合や大会のスケジュールを適切に管理し、休息時間を確保します。

保護者の理解
- 保護者は、子供の身体的、精神的な状態を理解し、適切なサポートをします。
- 早期発見、早期治療の為に、子供の身体の状態をよく観察し、少しでも不安な点があれば、専門家へ相談しましょう。
成長を妨げる可能性
成長期の骨格に生じる損傷は、成長を妨げたり、永続的な後遺症を残したりする危険性があります。
こどもたちの未来のために
成長期のスポーツ障害は、適切な知識と対策によって予防できます。子供たちは、そのような知識がないので、保護者や指導者が知識を持ち、子供たちの体の変化を理解し、安全なスポーツ環境を提供することが重要です。子供たちが生涯スポーツを楽しめるように、正しい理解と適切なサポートを心がけましょう。