
すねの内側、特に中央から下1/3にかけて痛みが生じる
運動時や運動後に痛みを感じることが多い
ランニングやジャンプのトレーニングが多い

このような症状を抱えている方は【シンスプリント】かもしれません。
シンスプリントはランニングやジャンプなどの運動を繰り返すことで、脛骨に負担がかかり、炎症を起こす障害です。放置すると慢性化し疲労骨折の原因となるため適切な治療が必要ですが、スポーツを休むことが難しく苦しむことも多くみられます。

足部の異常が原因となることも多く、症状の改善に足部からのアプローチであるインソール療法は非常に効果的です。
今回の足から診る痛み・障害は【シンスプリント】についてお話ししていきます。
*内側脛骨ストレス症候群(MTSS)
足から診るシンスプリント
シンスプリントは、脛骨(けいこつ)と呼ばれるすねの内側の骨を覆う骨膜が炎症を起こすことで、運動時や運動後にすねの内側に痛みが生じるスポーツ障害です。

病態や原因や治療法についてはこちらを参考にしてください
足から診るシンスプリントの原因
オーバープロネーションはシンスプリントに深く関係する
オーバープロネーションとは、足関節が歩行時に過度に内側に倒れ込む状態を指します。この状態が持続すると、歩行や筋肉のバランスを崩し脛骨や筋肉付着部に炎症を起こします。

【脛骨の過度な内旋】
オーバープロネーションによって、足が内側に倒れ込むと、足首も内側に回転し、それが脛骨のねじれにつながります。この異常なねじれは、脛骨(すねの骨)に過剰な負担がかかり下腿の筋肉、腱、靭帯に過剰な負担をかけます。特に、脛骨の内側に付着する後脛骨筋という筋肉に負担がかかり、炎症を引き起こしやすくなります。
【脛骨への負担増加】
オーバープロネーションは、脛骨にかかる曲げモーメントを増加させ、骨にストレスを与え、すねの痛みを引き起こす可能性があります。
【筋肉や腱の緊張】
オーバープロネーションを補償するために、下腿の筋肉は通常よりも多くの負荷に耐えなければなりません。この過剰な負荷は筋肉の疲労につながり、筋肉が脛骨をストレスから保護する能力を低下させます。疲労した筋肉は、衝撃力を吸収する効率も低下するため、骨や結合組織への負担がさらに大きくなります。
【衝撃の吸収低下】
オーバープロネーションによって足が地面に着地する際の衝撃吸収能力を低下させ脛骨への衝撃が大きくなり、骨膜の炎症を引き起こしやすくなります。
ランニングやジャンプが多いスポーツ選手は注意が必要!
【足部の過回内とオーバーユース症候群】
ランニング中に足部が過回内すると、下肢に過剰な負荷がかかり、オーバーユース症候群(使いすぎによる障害)を引き起こしやすくなります。ランニング中の負荷により、脛骨が内側にねじれ、足首が外側に開く動き(回内)が起こります。この動きは、着地の衝撃を吸収するために自然な動きですが、過剰になると問題になります。
注意が必要!!
- 立位時と着地時のアキレス腱の角度が大きく、足首がより内側に倒れ込む(過回内)
- 足首が外側に開く動き(外転)の角度の変化が大きい。
- 回内(内側に倒れる)速度が速いと、ヒラメ筋の筋膜を傷つけるリスクが高まる。
- 足首を背屈させる可動域が狭い。
- 足底圧を測定すると後足部と前足部の内反アライメント(足が内側に傾く状態)が多い。
- 立位での足部の角度が140°以下の場合、シンスプリントのリスクが高い
- 扁平足:土踏まずのアーチが低く、足裏が平らな状態
【動的な足の動きが重要】
シンスプリントと強く関連するのは、静止時の足の形よりも、運動中の足の動き方(動的オーバープロネーション)です。立っている時の足のアーチの高さなどを測定するだけでは、ランニングなどの運動中に足にかかる負担を正確に把握できない可能性があります。ランニングなどの運動中に、足がどのように内側や外側に回転するか、運動中の足の動きを評価することで、シンスプリントの危険因子をより正確に把握できます。
足から診るシンスプリントのメカニズム
オーバープロネーションと下腿の関係
下腿の筋群は距骨下関節の回内を減速するために遠心性に働きます。距骨下関節の過回内は下腿の過回内に運動連鎖するため、脛骨が内旋し骨に捻れを生じます。また、オーバープロネーションによって歩行時の衝撃吸収が不十分となり、下腿部での代償を行います。

【脛骨内旋による回旋】
オーバープロネーションにより、脛骨が内側にねじれ、骨に負担がかかります。また、足の過度な内向きの回転は、ランニングの立脚期(足が地面に着いている状態)に下腿の筋肉、特に深後方筋群の過度な伸張を引き起こし、脛骨の骨膜に牽引力を及ぼし微小断裂や痛みを引き起こします。

【アーチ低下による脛骨の衝撃吸収】
オーバープロネーションによる足部アーチの低下によって着地時の衝撃が増大し脛骨に負荷がかかります。またアーチの低下は下腿の筋への負荷増大や過回内の助長を引き起こします。

【後脛骨筋・ヒラメ筋・長母趾(長趾)屈筋のオーバーユース】
下腿の筋肉(後脛骨筋、ヒラメ筋、長母趾(長趾)屈筋)は足部の回内を抑制(減速)させるため遠心性に作用しています。オーバープロネーションによる足部の過度な動きを制御するために筋肉がより懸命に働き(オーバーユース)、筋疲労や骨ストレスの増加につながります。

【後脛骨筋の筋力低下】
後脛骨筋の筋力低下は、オーバープロネーションとシンスプリントの関連性において重要な役割を果たしています。後脛骨筋は、足のアーチを支え、回内運動を制御する役割を担っています。この筋肉が弱いと、オーバープロネーションが悪化し、シンスプリントのリスクを高める悪循環が生じます。

足から診るオスグッド・シュラッター病の症例



まとめ
オスグッドは、小児のスポーツ障害では比較的多く見られる障害です。骨端核と呼ばれる成長に関わる部位の障害のため今後の成長や、運動能力に関わることもあります。早期に適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
当院ではインソール療法を積極的に行っています。ぜひご相談ください。