顎関節症とは

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、口を開けたり閉じたりする際に使う「顎関節」や「咀嚼筋(そしゃくきん)」に異常が起こり、あごの痛み・クリック音・開口障害などの症状が出る疾患です。
20〜40代の女性に多く見られ、現代ではストレスや生活習慣の影響も大きいとされています。放置すると頭痛や肩こり、耳の不調など全身へ影響が及ぶこともあります。
原因
外傷や手術後の影響
口を大きく開けたり、硬いものを噛んでしまった際に生じる急性的な痛みも影響します。
また、打撲や交通事故などで顎に強い衝撃を受けたり、口腔外科手術後(抜歯など)の変化が関節の動きを制限することもあります。
噛み合わせ不良
上下の歯の噛み合わせにズレがあると、顎関節に余計な負担がかかり、関節や筋肉に炎症・痛みが生じやすくなります。
歯ぎしり・食いしばり
夜間の歯ぎしりや日中の無意識な食いしばりは、顎関節や咀嚼筋に強い力をかけ、慢性的な負担となって症状を引き起こします。
姿勢の悪さ
長時間のスマートフォンやパソコン使用による猫背・ストレートネック・頬杖などは頭部(顎関節)の位置をずらし、筋肉のアンバランスを生じる原因になります。
精神的ストレス
ストレスにより筋肉が緊張しやすくなり、歯ぎしりや食いしばりの習慣が強くなることで顎関節症を悪化させます。
分類
Ⅰ 型 咀嚼筋障害
顎を動かす筋肉に疲労や炎症が起こるタイプです。
筋肉痛やこわばりが主な症状です。

Ⅱ 型 関節包・靱帯障害
顎関節を支える関節包や靱帯に負担がかかり、痛みや違和感が出るタイプです。

Ⅲ 型 関節円板障害
関節のクッションである「関節円板」がずれたり動きにくくなるタイプです。
口を開けたときに「カクッ」とクリック音がするのが特徴です。

Ⅳ 型 変形性顎関節症
関節の骨が変形(骨棘)する進行型です。
関節の動きが制限され、強い痛みや開口障害を伴うことがあります。

症状
食事や歯磨き・あくびなど、顎を動かした際に症状が出現します。
- 顎の痛み、圧痛
- 関節の異音(クリック音など)
- 口の開閉障害
- 顔、首、肩のだるさ
- 頭痛、側頭部の痛み
治療法
症状や分類に応じて
顎関節の動きを改善する治療を進めていきます!
当院では顎関節症の症状や分類に応じて、疼痛緩和や顎−首−肩周囲の筋緊張除去を目的として、徒手療法や物理療法・鍼灸治療などで関節の痛み・動きを改善する施術を進めていきます。
日常生活での痛みやスポーツ時の影響、姿勢不良が原因である場合には、運動療法(コレクティブエクササイズ)を取り入れ、間接的なアプローチで過度な負担や再発予防・改善を目指していきます。
また、顎関節への負荷を軽減するための日常生活指導やセルフケア、運動中の痛みに対してもテーピングなどを処方して痛みを抑制させます。
- 顎関節モビライゼーション
- 頚背部〜上肢スポーツマッサージ
- 脊柱マニュピレーション
- ストレッチ
- 罨法(冷・温熱刺激)
- 鍼灸治療
- 超音波治療
- 干渉波・EMS
- ハイボルテージ
- マイクロカレント(微弱電流波)
- スーパーライザー
- 包帯固定・テーピング
- サポーター
インソール療法
必要であれば、日常生活動作に合わせた無理のない範囲のリハビリを行っていきます。
当院ではコレクティブエクササイズを取り入れ、脊柱・体幹〜下肢の筋力強化と柔軟性・安定性・バランス力向上及び腰椎骨盤−股関節複合体(LPHC)の機能向上を目指していきます。
スポーツをしている方には、顎関節症が誘発される動作をスクリーニングし、身体機能や柔軟性を分析して必要な最適動作の獲得を目標とします。
種目や競技日程・運動習慣や年齢などを考慮してゴールを設定し、それに必要な運動療法を行います。
- アスレティックリハビリテーション
- 腰椎骨盤−股関節複合体(LPHC)機能向上
- LPHC柔軟性・安定性向上
- 頚部−上肢−体幹−下肢筋力・協調性強化
- 筋バランス向上
- 競技動作に対しての身体操作訓練
コレクティブエクササイズ
姿勢不良の原因となる各部位のアライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良がある場合にはフィジカル機能に対しての修正が必要になります。
コレクティブエクササイズに加え、インソール療法は効率的な統合運動能力の獲得を目指し、痛みの改善とパフォーマンス向上に効果があります。
↑こんな選手には効果的!
- バランスが悪く転倒しやすい
- 足の裏が扁平足
- 足の趾(ゆび)が曲がらない
- 膝が内側・外側に向いている
- 踵の他にも痛みがある
- ふくらはぎが張りやすい