上腕骨顆上骨折とは
子どもに起きやすい肘の骨折で、転んで手をつく転倒や鉄棒からの転落などをきっかけに、起こる骨折です。肘の脱臼と似たような変形を呈するが、まだ成長段階で骨ができあがっていないことから、強い力がかかると骨が折れてしまいます。保存療法中も骨折部がずれたり、神経や血管を損傷することがあるので注意して経過観察を行わなくてはならない。重症な場合は、手術が必要となる。
原因
幼少期の肘周囲の骨折で最も多く診られ、骨の表面をつくる骨皮質が薄く、骨の断面積が小さいため強い力がかかると骨折しやすい。
分類
伸展型骨折
肘関節伸展位で手をついて転倒し、前方に屈曲力が作用
屈曲型骨折
肘関節屈曲位で肘をついて転倒し、過度の屈曲力が作用
症状
肘の周囲に激しい痛みと腫れ、骨の変形などがあり、肘を動かすことができなくなります。幼少期の骨折のため後遺症が残ることあるため注意が必要です。
- 腫脹・疼痛・血腫
- 機能障害（肘の運動不能）
- 異常可動性・軋轢音
- 変形（肘の脱臼と類似した外観）
- 肘関節の厚さと幅の増大
- 神経損傷
【後遺症】
固定や血管損傷などにより血流の障害から発生する阻血性拘縮（フォルクマン拘縮）や骨化性筋炎と屈伸障害や内反肘、外反肘の形態的変形があり、適切な治療が必要となります。
治療法
骨折部の転位（ずれ）が少ない場合は、整復・固定を行い保存療法を行います。転位が大きい場合や整復が困難な場合、神経や血管が巻き込まれている可能性が高い場合は整形外科にて手術や入院を選択することがあるため当院では近隣の整形外科へ紹介し治療をしてもらいます。
保存療法を行う場合、ギブスやシーネを使って手首から腕までの固定を行います。骨折部に対してはアイシングや物理療法、鍼灸治療を行い骨折の治癒促進を図り、経過によって患部以外の徒手療法や鍼灸治療、運動療法を行い、骨の再生を待ってリハビリテーションを行います。
- 柔整術による整復
- 鍼灸治療
- アイシング
- 超音波療法
- マイクロカレント
- 患部以外のスポーツマッサージ
骨折の治癒後、肘関節の関節可動域訓練や屈曲・伸展・回旋の自動運動、上腕・前腕の筋力強化や運動機能改善を目指す運動療法を行います。本症は小児の受傷がほとんどの為、細かなリハビリテーショよりも積極的な使用をさせることで改善を目指すことも多くあります。
- 関節可動域訓練
- 自動運動
- 筋力トレーニング
- 機能改善トレーニング
