肩関節周囲炎とは

一般的に四十肩・五十肩と呼ばれる「明確な感染や外傷がなく肩関節の疼痛や運動障害」を主徴とする様々な病態を含む症候群です。肩関節を構成する軟部組織の退行変性によって微細な傷害が発症すると考えられています。
原因
肩関節を構成する軟部組織の退行変性(老化)によって炎症性の疼痛が発症し運動障害をきたします。
病変の部位
烏口肩峰アーチ
肩の機能的な関節で烏口肩峰アーチと上腕骨頭で腱などを挟み込んでしまいます。
上腕二頭筋長頭腱
長頭腱は結節間溝と呼ばれる窪みをそうこうしているため機械的刺激を受けて障害を受けやすくなります。
腱板疎部
腱板の中で脆弱な部分(棘上筋腱と肩甲下筋腱の間)で癒着や瘢痕化しやすくなります。
関節包
関節包に炎症が波及すると関節拘縮の原因となります。

機能障害
腱板の機能
腱板と呼ばれる筋群の機能が低下し肩関節の正しい動きや正しい位置を確保できす障害を起こします。
肩甲骨の運動
肩関節の運動は肩甲上腕リズムと呼ばれる肩の関節と肩甲骨の動きが共同して作っています。肩甲骨の運動が低下することでこの運動リズムが崩れ障害を起こします。
症状
疼痛と可動域制限が主な症状です。日常生活では腕を上げることができない、洋服の脱ぎ着が辛いなどがあり、症状が強くなると夜寝ていてもヅキヅキと痛みで起きてしまう、痛い側の方を下にして眠れないなどの症状が出ます。また症状が長期化することも特徴で、フリージング期(強い疼痛で出る)、フローズン期(拘縮が完成する)、ソーイング期(拘縮が徐々に回復する)があり、半年〜1年半かかることもあります。
こんな動作ができない方は注意が必要!

結髪動作
髪を結ぶように両手を頭の後ろに持っていく動作ができない

結帯動作
帯を結ぶように腰に手を回すような動作ができない
治療法
疼痛緩和と可動域の確保が重要です。
まずは疼痛緩和と筋緊張の除去を目的として関節部、肩甲帯、上腕部に徒手療法や鍼灸治療、さらに干渉波治療器や超音波治療器を使用し、血行促進、筋緊張の緩和、炎症部の早期鎮痛、鎮静効果を高めます。

肩甲上腕リズムの改善、関節運動の適正化のために運動療法を行います。特に肩関節周囲のインナーマッスルの積極的な筋力強化と柔軟性を高める事を目的とし、並行して肩関節の安定性バランスよく強化します 。


インナーマッスルのトレーニング
回旋腱板の筋力強化と肩甲骨のスタビリティを強化する