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野球肘

野球肘とは

野球肘は、小学生〜中学生に多く診られるスポーツ障害で野球の投球による肘関節の軟部および骨軟骨部の組織障害の総称です。発生部位や原因となるメカニカルストレスの違いによって内側・外側・後方・前方に分類されています。子供の肘は大人と比べて脆弱で、成長期には骨年齢や体格にばらつきがあるためそれぞれに異なる障害となります。

原因

オーバーユース・身体の使い方

繰り返される投球によるメカニカルストレスが要因となります。投球時のコッキング後期から加速期には外反ストレス・リリースから減速期には内反・伸展ストレスが主体となります。

これらのメカニカルストレスを増大させる要因としてオーバーユース・コンディショニング不良・不良な投球フォーム(身体操作・協調性不足)があり、さらに子供の身体的・環境的特徴が危険因子となります。

分類

  • MCL(内側側副靭帯)損傷
  • 上腕骨内側上顆炎
  • 内側上顆-骨端線離開
  • 内側上顆-裂離骨折

コッキング期〜加速期には肘が外反位をとるため内側部の筋腱・靭帯に牽引力がかかり損傷を起こします。小児期では内側上顆の障害(リトルリーガーエルボー)が主体となり、16歳以上では内側側副靱帯(MCL)損傷が主体となります。

  • 離断性骨軟骨炎
  • 関節内遊離体

コッキング期〜加速期にかけての外反ストレスにより外側の骨・軟骨部に圧迫力と回旋力がかかり損傷を起こします。上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OSD)が主体で小学5年生くらいがピークです。

病期が進行すると肘関節の運動制限や関節遊離体(ネズミ)によるロッキングが生じることがあります。

  • 上腕三頭筋長頭腱炎
  • 肘頭骨端線離開

リリース期〜減速期に肘後部の筋腱は最大伸展からの急激な収縮力によって後側部に大きな負担がかかります。

症状

投球時や投球後に肘の痛みを感じ、日を追う毎に痛みが強くなるのが特徴です。初期には安静時の痛みを感じにくく、進行すると投球に関係のない日常生活でもちょっとした肘の動作で痛みを感じるようになります。

  • 投球時・投球後の肘の痛み
  • 日に日に増す肘の痛み
  • ある1球を投げた時に急激に現れる肘の痛み
  • 肘の曲げ伸ばしがしづらい
  • 全力で投球できない

治療法

まずは投球動作を一時休止させ、前腕部や肘の使用頻度を下げることで痛みのコントロールを行います。

また、前腕・肘に対しての疼痛緩和と筋緊張の除去・可動域改善を目的として、徒手療法や物理療法・鍼灸治療を施行していきます。

保存療法で改善が得られない症例は手術療法を検討するため、近隣医科に紹介することもあります。

その後、筋力強化や柔軟性の向上、フォームチェックを行いリハビリ・運動改善を行います。

肘への負荷を下げるように日常生活指導やセルフケア、運動中の痛みに対しても、テーピングやサポーターを処方して痛みを抑制させます。

  • 肩背部〜上肢スポーツマッサージ
  • マニュピレーション
  • 関節モビライゼーション
  • 罨法(冷・温熱刺激)
  • 超音波治療
  • 鍼灸治療
  • ストレッチ
  • 干渉波・ハイボルテージ・EMS
  • マイクロカレント(微弱電流波)
  • スーパーライザー
  • 包帯・テーピング
  • サポーター
  • インソール療法
前腕のスポーツマッサージ
超音波・微弱電流波
肩甲骨モビライゼーション
前腕の鍼
肘の鍼通電
前腕の温灸
テーピング

経過次第で肘痛の原因をスクリーニングし、身体機能や柔軟性を分析して投球時の最適動作を獲得するための運動療法を行っていきます。

運動療法では、肘の局所的リハビリに加えて、ファンクショナルトレーニング・コレクティブエクササイズを取り入れ、肩関節−胸郭−体幹−下肢の筋力強化と柔軟性・安定性・協調性・バランス力向上及び腰椎骨盤−股関節複合体(LPHC)の機能向上を目指し、投球動作の改善を促します。

競技日程・運動習慣や年齢などを考慮してゴールを設定し、それに必要な運動療法を行います。

  • アスレティックリハビリテーション
  • 肘周囲の局所的トレーニング
  • 肩甲胸郭関節機能改善
  • 腰椎骨盤−股関節複合体(LPHC)機能の向上
  • LPHC柔軟性・安定性向上
  • 上肢−体幹−下肢筋力・協調性強化
  • 筋バランス向上
  • 競技動作に対しての身体操作訓練
  • コレクティブエクササイズ
ストレッチ2

痛みが強い症状関節遊離体(関節ねずみ)が確認された場合では手術療法が適用される可能性が高くなります

肘痛の原因となる各部位のアライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良がある場合にはフィジカル機能に対しての修正が必要になります。

インソール療法・コレクティブエクササイズは、効率的な統合運動能力の獲得を目指し、痛みの改善とパフォーマンス向上に効果があります。

▶︎アライメント不良に対してのインソール療法について

▶︎パフォーマンス不良に対してのコレクティブエクササイズについて

↑こんな選手には効果的!

  • バランスが悪く転倒しやすい
  • 足の裏が扁平足
  • 足の趾(ゆび)が曲がらない
  • 膝が内側・外側に向いている
  • 踵の他にも痛みがある
  • ふくらはぎが張りやすい

治療実績

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